「遊び力」が育つ秘訣。子どもには、ボーっとする権利がある。
「子どもの権利条約」というものがあることを、みなさんご存じだろうか。
その条約のなかに、おもちゃ美術館とかかわりが最も深いのが第31条です。
条文のなかには、のんびりと休み、気ままに遊び、時には絵を描いたり、ピアノを演奏したり、読書したり、芸術に触れることができる権利を謳っている。
遊びも含めた数々の文化活動を保証しようとしているが、どのようなクオリティの文化芸術活動なのかといった質までは言及していない。
東京おもちゃ美術館の立場は、31条が前提になっているので、機会や出番を作るだけでは不十分と考えている。その質を追い求めてきた。
どのような質の芸術活動なのか。
いかに子どもの遊びを高めるおもちゃなのか。
遊びの質、芸術活動の質にこだわってきた。
また、遊び力こそが生きる力につながるものと思っている。
「遊び力」が育つ秘訣とはなんだろう?
かつて出会ったモンゴルの遊牧民の長老が、
「子どもにはたっぷりとした何もしない時間も必要だ」
と教えてくれた。
子どもにとって拷問にさえ思える退屈な時間を、楽しさに転換できる力は、実はどの子どもにも備わっている遊び力ともいえよう。
この「力」を豊かに育てるには、
やはり、先ずは31条がきちんと守られ、整備されることがベースとなり、その前提がなければ成立しないのかもしれない。
東京おもちゃ美術館は、そのような土台作りで汗をかいていきたい。
●子どもの権利条約 31条のひろばWebサイト