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子どもの「遊び力」が危ない ~基礎学力の低下より、遊び力の低下が心配だ~

子ども時代に獲得しなければならない様々な「力」が危ない。
その懸念の一つが「遊び力」だ。

以前、作家で精神科医でもあるなだいなださんとお話した際に、
「子どものときに一生懸命遊ばないと、大人になって一生懸命仕事は出来ない」
とおっしゃっていた。
遊びは、人間の基礎をつくる子ども期におてい遊びは欠かせない、心の栄養だ。

世の中では、基礎学力の低下が心配されているが、遊び力の低下のほうがよっぽど気懸かりだ。

ハイテク玩具など優秀すぎるおもちゃによって、
子どもたちが自ら楽しみを作り出すことをさぼり、受け手に徹してしまっている現状は心配である。
面倒見の良いおもちゃによる手厚いケアを受けすぎ、「遊びの天才」たちが腑抜けにさせられているのであれば、こんなに罪深い話はない。

また、遊びの天才たちの「遊び仲間」の崩壊も深刻だ。
子どもたちは集団遊びが薄れ始め、部屋に三人集まっても、一人遊びが三人いるだけだ。テレビゲ-ムに熱中する子ども、漫画を読んでいたり、違うゲ-ム機で遊んでいる子どもなど、各自が自分の世界で楽しむ。
おもちゃのハイテク化によって、多くの楽しみを享受してきたが、失うものも大きかった。友だち同士のコミュニケ-ションの絶対量や人間同士がもみ合う、もまれ合うといった歓迎すべき文化摩擦が少なくなっている。

さらに、子どもとお年寄りの世代間交流の希薄さも気になる。遊びの伝承文化が完全に断ち切れてしまったからである。昔は各家庭が遊びを通じた多世代交流センターだった。昔のお年寄りは子守り役だけでなく、遊び文化の伝承者でもあった。
遊びを通じた同世代、多世代の人間研究は、子ども時代の総合学習であり、必修科目である。日本の社会が少子化しても、子どもの遊び仲間は少子化してはならない。

豊かな人間関係と手応えのあるおもちゃに支えられた「遊びの天才たち」が、
日々、天才振りを発揮出来るような世の中にすることが、大切だ!

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