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人生を楽しむ道具である「おもちゃ」は、子どもだけのものではない。~高齢者のアクティビティケアとおもちゃ~

人生を楽しむ道具であるおもちゃは、決して子どもだけのものではない。
おもちゃは実はエイジレストイなのである。
高齢者には馴染みがないものでもあるが、シンプルなデザインで美しい色の玩具やゲームは、子どもの遊ぶものという印象をもったり、嫌悪を感じるというよりも、美しいものに自然に手が伸びるという様子が見られる。
高齢者でも手応えを感じるような玩具となると、おのずとデザイン性が求められてくる。
残念ながら日本の玩具にはこの視点を満たすものが少なすぎ、その多くを外国のものに頼らざるを得ない。ヨーロッパには、ロングライフで付き合っていく道具として玩具も考えられており、高齢者が正々堂々と手を伸ばして遊べ、毎日の生活の中に位置付けられている道具が豊富だ。

 高齢者福祉におけるおもちゃの役割として、次の3原則を唱えたい。

エイジレス トイ

おもちゃ=子どものもの といった従来のおもちゃ文化の払拭が求められる。遊び文化の支援者としても、医療・福祉領域の専門家のなかには遊びという手法でおもちゃを活用する機会は少なくない。子どもにも楽しめ、大人にも手ごたえの感じるおもちゃの活用が求められてくる。

コミュニケーション トイ

高齢者福祉施設の中で入居者や利用者のコミュニケーションは希薄になりがちである。世代間の交流も含め、人間関係が豊かに膨み、人間と人間がもみ合い、もまれ合うためのおもちゃの活用を期待したい。

ヒーリング トイ

精神的に不安定なお年寄りを抱える高齢者福祉施設や在宅での独居老人が多くなる中、心の安定につながるおもちゃへの期待は大きくなるに違いない。プレイセラピー、トイセラピーなどが、今後、福祉・医療の世界でもおもちゃを活用していくに違いない。

さて、今まで、赤ちゃんから高齢者までのおもちゃについて幅広く触れてきた。
人間の生活道具としておもちゃを捉えなおすことが必要だ。
遊び心を持った人間とおもちゃがどのような形で出会えるのかも大切になってくる。

人間とおもちゃが理想的なお見合いをはたし、
創造性豊かな遊びを育てる役割を担っていただきたいものだ。

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