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ドイツの保育園の遊びデザイン#1 「机の上で積み木を遊ぶと集中力が持続する?」

皆さまはじめまして。木のおもちゃチッタ店主、おもちゃコンサルタントマスター、あそび環境コーディネーターの横尾です。
私は自宅で小さなおもちゃ屋を営みながら、保育園など子どものための施設やご家庭向けに遊び環境のアドバイス、研修などを行っています。

2020年、コロナ禍が始まる直前にドイツへ研修旅行に行ってきました。

その際見学に行った保育園では気づきがたくさんありました!
どこかのお家のようなおしゃれなインテリア、様々な種類のおもちゃなど、子ども一人一人の育ちや遊びを大切にする環境が用意されていました。

そこで学んだ「遊びのデザイン」についてこれから書いていきます。
保育者の方はもちろん、家庭でお子さんの遊びを豊かにしたいと考えている方にも、きっと参考になると思います!
どうぞよろしくお願いいたします。

積み木は、机の上が遊びやすい

連載、第1回目は「積み木遊び」についてです。
日本でもおなじみの積み木。
見学に行った園にはどこも積み木がありましたが、そこでおや?と思ったのが机上で積み木遊びをしていることでした。

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木枠の中に必要な分だけ積み木をのせているようです。
椅子に座り机に向かうことで落ち着いて目の前の積み木に集中していました。
四角の枠はまるで絵画の額縁のようで、その中で積むと美しい造形物のように見えませんか?
シンプルな形の美しさや組み合わせの面白さが際立ちます。

子どもたちは一目で遊ぶ範囲がわかり、この中で遊びが完結するので遊びやすいようです。
子どもたちの積み木で遊ぶ際の思考の跡も見える気がしました。木枠が無ければ色画用紙などでもいいですね。

積み木+人形でイメージが広がる

こちらの机では先生と子ども達が一緒に机の上で積み木で遊んでいました。

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動物たちのお家でしょうか?
こうやって積み木を机の上で積むと、子どもたちの目線から近い所で、手を動かした結果が見えるので集中力が持続するようです。
全体も見渡しやすく、次はここに積んでみようかな?という意欲にもつながります。
動物やお人形があるとその子のベッドを作ろう、車を作ろう、などイメージが広がりやすくなりますね。

ただし、積み木あそびは突然写真のようなものが積めるのではありません。
1歳ぐらいから数個並べる、積むというところから始まります。
並べたり積んだりする数が少しずつ増えていき、その過程で平面や立体に空間が広がっていくことに気づきます。
そこに動物や車のおもちゃを追加すると、お家や道路を作ろうと遊びが発展していきます。


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この写真は5歳児クラスの様子です。
私が見学に行った保育園はどこも、積み木のコーナーには、ステージのような大きな台がありました。
高さがあると、机と同じ効果で目線が近く積みやすくなり、
周りで別の遊びをしている子が誤って積み木が倒してしまう心配もなくなりそうです。
積み木で遊ぶ台は床と違う色になっていますね。
高さだけでなく場の色が違うことで、
子どもたちはここ積み木で遊ぶ場所なんだなと見て判断することができます。

台がない場合、積み木コーナーにマットを敷くと、積み木が他のコーナーへ散らばることが少なくなりますよ。

木の枝、石、コルク栓など、自然物と積み木を組み合わせる

積み木コーナーには積み木や車のおもちゃだけでなく、ガラス製のおはじき、輪切りにした木の枝、ワインの栓のコルク、石などが用意されていました。
どれも日本で積み木遊びの素材としてはあまり馴染みがないかもしれませんね。

ドイツは環境保護先進国と言われ、自然を大切にする文化が根付いています。
抽象的形のそれらを使って身近な自然を再現して遊ぶのでしょう。
用意されている素材から、国の考え方が見える気がしました。

*   *   *

ドイツの先生方が子どもを中心に保育目標を考え、それを「見える化」した、デザインした様子をこれから紹介していきます。
第2回は、「ドイツのごっこ遊び」について。
東京おもちゃ美術館のWebマガジン「good us」からご覧ください。

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●横尾泉(木のおもちゃチッタ店主、おもちゃコンサルタントマスター、あそび環境コーディネーター)

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